「おはよう新ちゃん、」 くんが甘い声で僕の名前を呼び、僕たちはお互いに引き寄せられるように キスをする。リップクリームを塗ったあとなのか、くんの唇はうるおっていた。 とてもやわらかく夢のようだなぁなんて僕は思う。ふわふわと浮くような、 朝のぼんやりとした目覚めの時間。 舌を入れるような激しく深いキスはしない、だって僕たちはまだそんな深い関係ではなく、 始まったばかりだから。すぐに重なった唇は離れ、現実の世界がひゅーっと戻ってきた。 僕たちはなぜか、いっしょの布団の中に横たわっている。体がスースーすると思って、 おそるおそる布団の中をみてみると、僕たちは全裸だった。 部屋のあちこちに服が散らばっている。 寝ぼけた思考で考えてみる。さっきの「僕たちはまだそんな深い関係ではなく、 始まったばかりだから。」というセリフは撤回したほうがいいんじゃないのか。 これはもしや、やってしまったんじゃないのか。 僕たちは無事高校に入学して(別々のとこだけど)、それのお祝いに 2人で酒を飲んでて、そんで、酔ったくんが可愛かったから押し倒しちゃって 、それからは自分の欲望に身をゆだねるまま…って、けっこう覚えてるもんだ、 僕はカンペキのやってしまったのだ。 「えっと、昨日は…」 枕元においてあるメガネをつけながら僕は言う。 「アー…うん、」 「なんていうか、いきなり、や、や、やっちゃってごめんね。痛かったでしょ?」 「…別に、いいよ。新ちゃんだった、から」 「そっ、か。僕もでよかった、」 「うん、」 「…」 「…」 「…とりあえず、服着よう」 「そ、だね」 の顔がもともに見れないし、会話もメチャクチャぎこちない。昨日の夜のことを 思い出してしまって。普段は明るくてがさつなくんが、こんなに照れて大人しく なっているのをみて、可愛いなんて思う僕はあいかわらずだ。 あとすこしだけぎこちなく (たまにはこういうのも良いかもしれない!) 20060423 |