中学のときも、この季節になると体育はバスケだった。 ただ、今みたいに生徒数が少なくなかったので、男子と女子は別々だったけども。 楽しそうにボールを追っかけるヤツ、やめんどくさそうに 後から歩いてくるヤツ。色々いるけど、率直にうらやましいと思った。 オレの右手にはおおげさなテーピング。 ただの軽い捻挫なのに、マネージャーが「巻くの楽しいんだけど」とか笑い ながらぐるぐるやったので、こんな風になっている。 「どーしたの。ため息なんかついちゃって」 そのマネージャーていうのがこいつ。。 指定外の灰色のセーター。みじかいスカート。こんなんなのに成績いいから 腹が立つ。 「てめーだよ、てめー」 「え。あたし?何よ、何かしたっけ」 「巻きすぎだっつの」 オレは右手をに押しやった。は薄い笑いをうかべながら「あぁ」 と言った。 「見学者あたしたち2人だけだからさ、」 「うん」 「それで、ため息なんかつかれちゃったから」 「うん」 「告白されるかと思ってちょっとビビった」 「・・・は」 「良かったァー。されなくて」 「誰もしねぇよ・・・」 何を言い出すかと思いきや。 Z組にはまともなヤツはいないけど、こいつも決して例外なんかじゃない。 冗談をまじめな顔して言い、まじめなことを笑いながら言う。 友達はめちゃくちゃ少ないし、不良の男子ばっかと喋ってる。本人が 望んでそうしてるなら別にいいと思う。 だけど、なんてゆーか ・・・いや、何でもないんだ。 「あたし、ずっと気になってたことがあるんだけど」 「何だよ」 「土方くんて、『としろう』?『とうしろう』?」 ・・・ ・・・・・・はぁ。 「ねー、教えてよ」 07/01/08(てめー、何年うちのマネージャーやってんだ) |