そういえば今気づいたんだけど、 最近はじまったアニメで、オレが今いる街と同じような風景の街があった。
銀色の髪をした侍の話。そのアニメの設定では、開国をしたのはペリーではなく、 「天人」と呼ばれる宇宙人で、そいつらが江戸の街をふんぞりかえって歩いてる――
漫画は読んだことがない。
たまたまヒマでつけたテレビにそのアニメがはいってたから見てただけなのだ。
そして、この街の人は、すごく冷たい。
ここはどこ?とか
今日は西暦何年何月何日何曜日ですか?とか
そういうことをきこうと思って、道行く人に話しかけても、「忙しいんだ」と言ってあしらい、 駆け足で去っていく。


「あの…っ」
「ごめんなさい、わたし今いそいでいるので…」


今度は上品な水色の着物をきた女の人に話しかけてみる。
見た目はすごく優しそうで、言い方も優しかったけど、目だけは冷たかった。
「話しかけないで頂戴」そんな感じだった。
なんで皆こんなに冷たいんだよ……




「キミ、何か困ってるの?」
助け舟だ…!
天に声がとどいたのかとホンキで思った。
オレに優しく声をかけてきたのは、 20代後半〜30代前半くらいの筋肉質で背の高い男だった。 髪は明るい茶色で、肌はこんがりと日焼けしている。 ほら、サーフィンとかやってそうな感じの。




「えと、コンビニからでてきたら、 なんかいきなり知らないとこ来ちゃって… オレここどこだかわかんないんですっ! それに皆冷たくて… どうやって帰ったらいいかも、わかんないし、 日も暮れそうだし……っ」


泣きそうになりながらオレはいっきに喋った。
男はいっしゅん頭の上に「?」をみっつくらい浮かべたけど、すぐにこう言った。


「…迷子ってことだよね?」
なんか微妙に違うような気もしたけど、とりあえずオレはこくこくと縦に頭をふった。


「ここら辺て道がフクザツだから、初めて来たら迷っちゃうと思うよ。 この街の人は他人にあんまキョーミないしね。 まぁいいや、僕についてきて…」
「は、はいっ」




あぁなんていい人なんだろう。
助かった…!
こんな街にも、優しい人はやっぱり1人はいるもんだ。













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20060505