もうだいぶ暗くなってきた。
それにかなり歩いてるし。
足のうらが痛い。
男に話しかけられたときは、マジで助かったー!と思った。不安も吹き飛んだ。
だけど今のオレはけっこう不安でいっぱいだ。
なぜなら、オレたちは妖しい色のネオンが行き交う、 いわゆる「ラブホ街」を歩いているからだ。
助けてくれるのは嬉しいんだけどさ、この人についてってホントに大丈夫かぁ?




「あのぅ、」
「ん?どうかした……あぁ疲れたんだね!ごめんごめん」
「あ、はい…」
「……じゃあちょっと休んでいこうよ…」
「(えええぇえ)」




男の息は荒く、妙に熱っぽい。
男が指さしたのは、お城みたいなつくりの、「ラブホ」。
ええええムリムリムリ!
ええええコイツってソッチ系だったの!?
だからオレに優しかったのか…
オレがちゅうちょしていると男は筋肉質な腕でオレの手首をぎゅっと掴んだ。




「はやく、休もう」
「やっ休まなくていいです!オレ全然つかれてませんから!」
「そんなこと言っちゃって…ムリなんかしなくていいんだよ?」
「ほんといいんで…!」




オレが全身全霊で拒否しても、このムキムキなやつに勝てるはずもなく。
調子に乗ってもういっぽうの手で腰を撫で回してきた。
きもちわる…っ




「誰かっ助けて…!」
「オイオイオイオイ、強姦はいけねぇなァ」




どこかで聞いたことのある、声がした。















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20060505