部活の帰りはコンビニに寄ってポテチ(うすしお)を買うのがオレの定番だ。 今日もその定番通りに行動して、ポテチの袋をあけながら自動ドアをくぐる。 後ろから「ありがとうございました!」という元気のいい店員の声が聞こえたのが、 オレが覚えてた最後の場面。 「どこだよ、ここ…」 ぽつりと嘆いてみても、誰もきいていない。 目の前に広がっていた光景は、見慣れたコンビニからの風景とはまったく違っていた。 工事中のマンションもないし、止めっぱなしの白いベンツもない。病院も、バス停も、100均も。 それらのかわりに、江戸時代風の建物、遠くの方には でっかいビル群がかすんでみえる。着物をきて喋っている人たち、映画やアニメ でしか見たことのない生物が広い道を行き交っていた。 はっとして、振り返ってみると、オレがでてきたはずのコンビニはどこかへ消えていて、 ぽつんぽつんとしか車がおいていない駐車場があった。 360度体を動かして、あたりを見回してみる。 ほんとにどこ、ここ…! がやがやとしている街をよそに、オレの頭の中はまっしろだ。 え、え、え、え、え…?なにこれ。なにこれェェエ!! ちょ、まって!落ち着け、オレ。落ち着けよォオオ!OCHITSUKE!! …とりあえず、ここはどこだよ? なんでオレはこんなとこにいる? なにあのヘンな生物は! 江戸時代っぽいけど、近未来の建物もあるのはなんで? えっと…、オレはたしかいつものように部活を終えて、それからいつものように コンビニに行ったんだ。そんで、ポテチ買って、いつもの可愛い店員さんで、 細かいお金がなかったから1000円札をだしたんだ。 うんうん、けっこう覚えてる。 で、自動ドアをくぐって、「ありがとうございました!」って言われて、 気がついたらここにいて…… あれあれあれあれ どうしてこうなったか考えてみても、答えなんかでるわけがなかった。 オレはただいつもと同じ行動をしてただけだから。 わっけわかんねーよ。 誰か、誰でもいいから、たすけてくれ。 日がだいぶ暮れはじめたこの見知らぬ街で、オレは途方に暮れていた。 →2 20060505 |