「……え、え?依頼ってそれ?」
長い沈黙のあと、最初に口をひらいたのは銀さんだった。
メガネの子はだいぶかたまっている。
たしかに見知らぬやつにいきなり「ここに置いて」なんて言われたら 誰だってビックリすると思う。




「ダメですか、」
「いや、ダメってわけじゃないんだけど…」
ダメってわけじゃないんなら、何。
大人っていっつもそうだ。断りたいんならハッキリ断ればいい。 相手を傷つけないよーにとか、そんな優しさなんてもとめてないよ。
でも、ホントに断られたらそれはそれですごく困る。




「ワタシ、イイと思うヨ」
「ちょっ神楽ちゃん、そんな簡単に…」
「だってこの子すごく困ってそうアル。 困ってる人、見捨てられないヨ。ね、銀ちゃん」




銀さんの方へしせんをむける。
長い足を組んで、「う〜ん」といいながら考えているようだった。
手から汗がでてくる。オレは制服のズボンを握り締めた。




「しょーがねぇな」
その言葉をきいて、 『神楽ちゃん』とオレはハイタッチして喜んでいた。

















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20060505