銀さんの許しを得てから、お互い自己紹介をした。
自分の名前とか、シュミとか、好きな異性のタイプとか。
そして3人とも、オレがここに置いてくれと頼んだ理由を 聞こうとはしなかった。
きっとオレから話すのを待っているのだと思った。
ムリヤリ干渉しないやさしさを持ったこの人たちを、オレはすぐ好きになった。
だけどオレは話さなかった。
いくら優しい人たちでも『実はオレ異世界トリップしたんですよォ』なんて言われて 『あぁそうなんだ』なんて信じてくれないだろう。




新八くんは自己紹介が終わったあと、家に帰っていった。
神楽ちゃんは早朝に『定春』という巨大な犬の散歩にいかなきゃならないとかで、
9時前に押入れの中へ入っていった。ドラえもんのように押入れの中にふとんをひいて 寝てるらしい。(カ、カグえもん…)




ーっ次フロ入るだろ?」
オレがソファーに横たわりながらテレビを見ていると、 青いジャージに白いTシャツというかなりラフなかっこうで銀さんはフロからあがってきた。 水にぬれても天パはまだまだ健在だ。


「入りたいけど、着替えもってない…」
オレは学校帰りだったから、そのまんま制服姿。
そして、学校指定の合皮の学バンと、ポテチ(うすしお)ひとふくろがオレの全財産。


「あ、そうなんだ。じゃあオレの服着ろよ。ちょっとデカイかもしんねーけど」
「ありがとう、銀さん」
「どういたしまして」
そういって銀さんは奥の部屋に行った。
ちょっとしてから黒いジャージと『ビーチの侍』とかいたTシャツを持ってきた。あと、 バスタオルと体を洗うスポンジも。




「廊下でてすぐ右だから。とりあえず今日はよくあったまりな。変なヤツ(=ホモ)に からまれて疲れてるだろうし」
ホモにからまれたことなんてすっかり忘れてた。
それは銀さんたちにあえてホッとしたせいだと思う。
















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20060506